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全体的な彫技が整い、江戸時代の作と考えられている薬師如来坐像を囲んで安置されている十二神将立像は、近年の調査で10体が平安時代後期にさかのぼり、残る2体も江戸時代に大きく修理されているものの、頭部は他と同時期の制作と考えられます 。現存する東国最古の十二神将像であり、身に着ける甲や装身具に獣の意匠を用いる点が特徴的です。これらの像は、平安時代の長寛2年(1164)に絵仏師である長覚房定智( ち ょうかくぼうじょうち)が唐本から写し、高野山に伝わっていた図像(通称「定智本」)と細部まで一致するものがあります。定智本とこれほどまでに一致する彫像は他に例がなく、本像が都で制作された可能性を示しています。